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2004年度 第1回特別研究生研究発表会
日時 2004年7月24日(土) 13:30〜17:10
会場 西早稲田キャンパス6号館318教室レクチャールーム
 

タイトル 「滑稽戯『七十二家房客』の成立
氏名 森平 崇文 (演劇理論研究(東洋)コース)
時間 13:35〜14:00発表 14:00〜14:15質疑
概要 上海滑稽戯を代表する作品『七十二家房客』の成立過程に着目し、まず作品の内容の筋を紹介しつつその特徴や背景を説明していく。次に人民共和国成立から初演の1958年までの滑稽戯界の新作制作の過程、批判点を紹介しつつ、そのテーマと作り方の意味を提起する。そして次に下敷きにしたと思う過去の人気作品を紹介し、どの点をどのような効果を狙って下敷きにしたのかを紹介する。最後にこの作品の成立が上海滑稽戯界の次なる方向にどのような影響を与えたのかについて触れ併せてこの作品の可笑しさ面白さを再確認したい。
 

タイトル 『集団ヒステリーの身体表象
―文革期中国のプロパガンダ演劇とその映画化』
氏名 劉 文兵 (アーカイブ構築研究(映像)コース)
時間 14:15〜14:40発表 14:40〜14:55 質疑
概要 今回の発表においては、文革期(1966〜1976)のプロパガンダ演劇とその映画化に焦点を当てて、とりわけプロパガンダ演劇における身体表象に着目した。プロパガンダ演劇とは、古典芸能である京劇の舞台を現代に移したり、バレエ、ピアノ、シンフォニーといった舶来の表現手段を用いて中国革命を表現するものである。このような映画化されたプロパガンダ演劇は世界の映画史において特異な存在といえよう。というのも、文革中の十年間にわたり、それ以外のジャンルの映画は殆ど作られておらず、絶対的な地位を誇ったからである。題材とされたのは、まず1949年を境に国民党や日本軍と闘ってきた中国の輝かしい歴史、そして革命後、国民党のスパイや元地主、元資本家との「階級闘争」を行いながら共産主義社会を築いていく現在であり、そこではもっぱら、ありとあらゆる技法を駆使してスーパーマンとしての共産党員の活躍を描くことによって、指導者毛沢東の功績が褒め称えられたのである。
 プロパガンダ演劇は、抽象的な理念、いわば革命的精神を国民に分かりやすく伝えなければならないがために具象性が要求される。また、国民の身体の規律性を目指すプロパガンダ演劇には、身体性も当然出てくる。つまり、身体が低い次元のものと見なされる反面、プロパガンダ演劇においては身体表象が重要な役割を果たしているのである。さらに、抑圧された身体性は神経症的な回路を通して回帰してくるのであり、それはとりわけ、女性表象におけるねじれた形でのセクシュアリティー表現において顕著に現れているように思われる。発表の前半においては身体の規律性の問題を扱い、後半では抑圧された身体性がどのように女性表象において顕在化してくるかを考察した。
 

                  <休憩14:55〜15:10>

タイトル 『勝負の終わり』の上演禁止:ベケットとアナロジー
氏名 川島 健 (演劇理論研究(西洋/比較)コース)
時間 15:10〜15:35発表 15:35〜15:50質疑
概要 この発表ではサミュエル・ベケットの『勝負の終わり』(1957)という作品におけるアナロジーという概念の重要性を証明する。初期のエッセイでベケットはシンボル、アレゴリーなどの修辞法を批判しつつ、アナロジーの働きを評価している。そこでアナロジーは二つの要素を弁証法的に止揚することなく連結する方法として定義されている。『勝負の終わり』では、登場人物の反復的、相似的台詞とジェスチャーを修飾する言葉としてアナロジーは登場する。アナロジーに注目することで『勝負の終わり』を支配する反復性と脱物語性が明らかになるだけではない。ベケットにおけるテクストと上演の関係についても明らかになるはずである。
 

タイトル 「増阿弥と東寺」
氏名 江口 文恵 (古典演劇研究(能楽)コース)
時間 15:50〜16:15発表 16:15〜16:30 質疑
概要 将軍足利義持に重用され、尺八の名人としても知られた田楽本座の役者増阿弥。世阿弥と活動時期を同じくし、応永年間に活躍したことはわかっているが、その経歴については未詳な点が多い。増阿弥は東寺(教王護国寺)と深い関わりがあったらしく、『東寺百合文書』にしばしばその名が見られる。本発表では、『東寺百合文書』所収の書状で、差出人が増阿弥である可能性の高い二通を紹介し、彼の田楽以外の活動の一端に焦点を当てる。
 

タイトル 松竹合名会社の東京への進出
氏名 寺田 詩麻 (古典演劇研究(歌舞伎・日本舞踊)コース)
時間 16:30〜16:55発表 16:55〜17:10質疑
概要 明治四十三年、東京の新富座と本郷座を手に入れたことから、京阪の興行師松竹の東京進出は開始された。本発表はこれについて新たな史料を提示するものではないが、同時代の新聞・雑誌・番付などを読みなおすことによって、
・この進出が当時どのように評価されたか
・現在から見て、この進出が興行史上どのように評価できるか
を整理し、考え直そうとするものである。
 


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